AIに実装を頼む前に。「ちゃんと動く」を確認できる受け入れ条件の書き方

AIに実装を頼む前に。「ちゃんと動く」を確認できる受け入れ条件の書き方 システム開発

「問い合わせフォームを作って」と頼むと、見た目はすぐに完成します。でも、空欄の扱い、二重送信、通知の失敗はどうなっているでしょうか。画面を見てから要件を足すと、実装と確認を何度も往復することになります。

作る前に、利用者の操作と、その結果を対にして書きます。受け入れ条件は、完成を判断するための約束です。コードの内部構造より、担当者が実際に確かめられる言葉を使います。以下は架空の問い合わせフォームの設計例です。

「使いやすい」を、観察できる結果へ変える

「使いやすくする」だけでは、実装者と依頼者で判断が分かれます。「必須項目を空のまま送信すると、項目の近くに理由が表示され、入力内容は消えない」なら、同じ操作で確かめられます。AIへの指示にも、確認用のテストにも使える粒度です。

依頼を、確かめられる形へ。利用者:誰が使う?。操作:何を入力して何を押す?。結果:画面と保存先で何が起きる?。架空の問い合わせフォームの条件整理
図1:依頼を、確かめられる形へ。架空の問い合わせフォームの条件整理
曖昧な依頼確認できる条件の例
入力ミスに対応するメール形式が不正なら保存せず、修正する欄を示す
送信したら完了にする受付IDを表示し、同じIDの受付が1件保存される
担当へ知らせる受付と通知の状態を分け、通知失敗が分かる
管理画面で確認できる権限のある担当者だけが受付内容を見られる

通常・失敗・やり直しの3場面を書く

通常の成功だけを定義すると、失敗後の動きが実装者任せになります。必須項目の不足、通信の失敗、同じ送信の繰り返しを選び、何を保存し何を表示するかを書きます。すべての例外を列挙する前に、影響の大きい場面を決めると議論が進みます。

条件ID:FORM-03
前提:利用者が必要項目を入力している
操作:送信ボタンを1回押す
期待結果:受付IDが表示され、受付が1件保存される
失敗時:保存が確定しない場合は、完了と表示しない
再操作:同じ受付を意図せず増やさない方針を別途定義する
確認先:画面・保存先・処理記録

再操作の方針は、「同じ内容ならすべて拒否」では済みません。同じ利用者が別の相談を送ることもあるためです。何を同じ受付と見なすか、識別子の単位まで合意します。

成功だけで終わらせない。通常:1件保存され、受付IDが出る。失敗:保存できなければ完了にしない。やり直し:同じ受付を増やさない。判断が未決なら、担当者と確認日を残す
図2:成功だけで終わらせない。判断が未決なら、担当者と確認日を残す

未決の仕様は、推測で埋めず担当を付ける

通知失敗時に誰が再送するか、受付データをどの期間残すかなど、開発担当だけで決められない条件があります。未決事項の欄に判断者と確認日を残します。AIに空欄を埋めさせると、もっともらしい仕様が合意済みとして混ざりやすくなります。

CyberAgentの仕様書作成の記事は、関連する情報や用語を整えてからAIへ渡す取り組みを紹介しています。本稿の小さな条件表も、何を正とするかを先にそろえる考え方です。他社のフォーマットをそのまま使うのではなく、今回の利用経路に必要な欄へ絞ります。

条件IDを、実装と確認結果にひもづける

条件がFORM-01〜05なら、実装の説明と検証記録にも同じIDを付けます。変更が入った際、どの確認をやり直すかが分かります。テストが通っただけで業務要件も満たしたとせず、画面・データ・通知など条件に書いた結果を確認してください。

最初の依頼に付けるのは、長い仕様書でなくても構いません。利用者、操作、成功、失敗、未決事項がそろえば、実装前に話すべき点が見えます。作成後の確認項目は、AIコードのPRチェック7項目へつなげられます。

参考資料・確認範囲

2026年11月2日確認。本文の例・図・ひな型は本記事用に作成したものです。以下は、設計や事例の背景として参照した一次資料です。

CyberAgent:生成AIによる仕様書作成とレビュー

Playwright:Best Practices

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