「交通費はこの申請方法です」とAIが答えた。でも、その方法は先月変わっていた。社内資料をまとめて読ませても、正しい答えが返ってくるとは限りません。資料を増やすほど、旧版と新版の区別が必要になります。
小さなチームなら、FAQごとに「答えの根拠・適用日・確認担当」を1行にまとめるところから始められます。この記事では、架空の備品申請を例に、AIへ渡す情報と更新の手順を整理します。新しい検索システムの購入を前提にしません。
答えだけを保存すると、更新する場所が分からない
LayerXのLLM Wiki運用記事は、資料をまとめた後も出典の変化へ追従する課題を扱っています。その問題意識を参考に、ここでは人が更新できる小さな台帳へ落とし込みます。出典を自動監視する同社の仕組みを再現するものではありません。

台帳には「確認した日」と「適用される日」を分けて書く
| 欄 | 備品申請の記入例 |
|---|---|
| 質問ID | FAQ-014 |
| 想定質問 | キーボードを購入したいときの申請先は? |
| 正とする資料 | 備品申請手順 v3 の「申請先」 |
| 適用日 | 2026年11月1日以降の申請 |
| 最終確認日・担当 | 2026年11月2日/総務担当 |
| 状態 | 確認済み/要確認/廃止 |
| 更新後の確認質問 | 10月の申請を今から精算する場合は? |
最終確認日が今日でも、来月からの制度かもしれません。適用日がないと、現在と将来の案内を混同します。部署・雇用形態・申請時期で条件が変わる場合は、その条件も質問の近くに書きます。資料名だけでなく、該当する節やページへのリンクを残すと確認が速くなります。
更新したら、古い答えに関わる質問を試す
資料を差し替えて完了にせず、「変更箇所を知らない人が聞きそうな質問」で結果を確かめます。架空の例なら、通常の備品申請、旧制度の対象、新旧の条件が混ざる質問の3件です。根拠がない場合に、分からないと返すかも見ます。

旧版は履歴として残しても、通常の参照対象からは外します。削除できない資料があるなら、冒頭に失効日と現行資料へのリンクを置きます。ただし、文章に「古い」と書くだけで検索対象から必ず除外されるわけではありません。使っている検索・連携の設定でも参照範囲を確認します。
困った回答を、そのまま更新の入口にする
利用者の「違う気がする」を受け付ける窓口を1つ決めます。報告には質問、AIの回答、参照先、何が違うと思ったかを残します。担当者が原資料を確認してから、台帳とFAQを修正します。AIの回答を根拠として別のFAQを書き直すと、誤りが循環するので避けます。
更新メモ
質問ID:FAQ-014
変更された根拠:備品申請手順 v2 → v3
影響する回答:申請先・適用日
確認する質問:通常/旧制度/条件不足
確認結果:根拠へのリンクと回答を保存
再確認担当:総務担当
最初は、よく聞かれる10問だけでよい
すべての社内資料を整理し直す前に、問い合わせの多い10問を選びます。担当者が台帳を見て答えを確認でき、変更時に質問まで試せる状態を目標にします。これは件数の推奨例で、10問なら十分という保証ではありません。利用者の質問が増えたら、探せなかった答えから対象を広げます。
AIへ業務を渡す範囲まで整理するなら、業務引き継ぎシートの作り方も合わせて使えます。台帳は、AIだけでなく人が迷わず確認するための目次にもなります。
参考資料・確認範囲
2026年11月2日確認。本文の例・図・ひな型は本記事用に作成したものです。以下は、設計や事例の背景として参照した一次資料です。



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